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オーバーラッピング手術

心臓の筋肉が悪くなると心臓の収縮・拡張の力は衰え心臓が拡大してきます。
左心室は心臓に4つある部屋のうち全身に血液を送る最も重要な部屋ですが、健康な心臓ではこの左心室は半分に切ったラグビーボールのように円錐の形をしています。この円錐の先端を「心尖部」と呼び、この形が最も効率よく血液を送り出すことが出来ると言われています。

一方拡大した心臓ではとがっていた心尖部が丸くなり全体に球形に近い形になります。 大きくなった心臓はよりたくさんの酸素を必要とするため疲れやすく、また血液を送り出す効率も低下しているため全身にとっても必要な血液が不足することになります。

古くから大きくなった左心室を小さくする左室形成術(左室縮小術)は行われてきましたが、手術の成績は必ずしも良好ではありませんでした。有名なドール手術(図のa)は左心室を小さくするものの心臓の形態は丸いままでした。また、同様に有名なバティスタ手術(図のb)は心臓の筋肉を切り取ってしまう手術であり、切り取る部分が元気に動く筋肉で、残った部分が動きの悪い筋肉であった場合必ずしもよい結果にはならないという問題がありました。SAVE手術(図のa)は左心室の形を良くしながら大きさも小さくできる手術ですが、悪い筋肉を切り取った後心臓の内側に人工物のシートを使うためその部分は全く動かなくなってしまいます。

  • a.ドール手術・SAVE手術
  • b.バティスタ手術
  • c.オーバーラッピング手術

こうした状況を打開するために松居喜郎先生(現教授)が2001年に世界で初めて行った手術がオーバーラッピング手術(図のc)です。オーバーラッピング手術は丸くなった心臓を筋肉を切り取らず折りたたむようにして円錐形に近づけ、左心室の大きさも小さくする手術です。また人工物のシートを使うことなく全て自分の筋肉を使うため、できあがった心臓には動きの悪い部分はあっても完全に動かない部分はありません。 北海道大学を始め全国の数多くの施設で取り入れられている手術法です。

オーバーラッピング手術

現在ではオーバーラッピング手術に加えて僧帽弁形成術、乳頭筋接合術・牽引術といった方法を加えた統合左室形成術(integrated surgical ventricular reconstruction)として様々な状態の重症心不全の治療に取り組んでいます。

僧帽弁形成術・乳頭筋接合術・牽引術
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