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教授挨拶

教授  松居 喜郎

【北海道大学循環器外科の歴史】
北海道大学循環器外科は、1990年11月初代安田慶秀教授により開設された比較的若い教室ですが、もともと北海道大学第2外科教室から発展的に分離した教室です。1921年に北海道大学に医学部が新設、1924年4月に第2外科講座が開講し初代柳壮一教授、二代奥田義正教授、三代杉江三郎教授、四代田邊達三教授が主催され田邊先生の時代に循環器外科が新設されました。三代目杉江教授からは心臓血管外科を中心として臨床・研究を行っており長い歴史のある教室と自負しています。

【教授紹介】
私松居喜郎は、北海道大学医学部卒業後、当時田邊達三教授が主宰されていた北海道大学医学部第2外科に入局し研修させていただき外科医としての一歩を歩きはじめました。その後、1985年フランス・パリ第12大学外科研究センターに留学させていただき、Loisance教授のもと成人心臓手術、心臓移植の臨床と心保存、移植の実験を行い、1992年には文部省在外研究員として米国メイヨークリニックにも留学させていただき、Danielson教授、Puga教授のもと主に成人先天性心疾患に対する手術を学ばせていただきました。1994年北海道大学医学部附属病院循環器外科助教授となり、2000年9月にはNTT東日本札幌病院に心臓血管外科開設のため部長として呼んでいただき、2004年には縁があり東海大学非常勤教授として東京の池上総合病院ハートセンター長に招かれ心臓血管外科を立ち上げました。2006年4月からは母校北海道大学病院循環器外科教授に着任いたしました。学会活動も積極的に行っており多数の評議員を拝命し、日本外科学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会理事も務めています。

教授  松居 喜郎

【再編にともなう循環器・呼吸器外科について】
この度,北海道大学医学部外科系診療科の再編に伴いまして、循環器・呼吸器外科として再出発することになりました。旧第二外科(腫瘍外科学)に所属していた呼吸器グループが循環器外科と合流し,「循環器・呼吸器外科」(北海道大学大学院医学研究科循環器・呼吸器外科学分野)が発足となりました。内容はいわゆる胸部外科となりますが、私たちはこれを新しい形の協力体制ととらえています。

【循環器外科グループ】
教室循環器外科グループでは後天性心疾患(虚血性心疾患、弁膜症)、先天性心疾患、大血管疾患、末梢血管疾患を扱っており、患者さまの年齢も、新生児から超高齢まで幅広く扱っており、手術総数約400例、体外循環(OPCAB含む)症例数約250例と増加しています。教室のメインテーマのひとつが、「重症心不全に対する外科治療」で、独自の左室形成手術、僧帽弁複合体形成術などが注目されています。植込み型人工心臓の進歩は著しく、また心臓移植の本邦での成績は良好ですが、高コスト、投薬コントロールなど問題点も多く、少なくともこれら究極的な治療前に、左室形成手術、僧帽弁複合体形成術などが有効であると考えています。本邦では同様な考え方をする施設も多く、「重症心不全外科研究会」を立ち上げ本邦発信の治療法を模索する動きがあり、私が代表幹事を拝命しています。
当院は、2010年7月に北海道初の心臓移植実施施設、2011年3月に道内唯一の植込型補助人工心臓実施施設として認可されました。すでに植込型補助人工心臓は3名の患者様に施行され、外来通院し移植待機中です。このことにより重症心不全に対する外科治療体系すべてが北海道で可能となりました。
また低侵襲手術にも取り組み、いわゆる小開胸僧帽弁手術(MICS)や小開胸ACバイパス術も始めています。小児グループでは複雑心奇形や新生児への手術は極めて多く、成績はこの数年で飛躍的に向上しました。また大血管手術も田辺、安田名誉教授時代から、当科での大きなテーマであり、中心となっていた椎谷先生が浜松医科大学の教授として栄転された後も、積極的に手術を行っており、良い成績をおさめています。また最近ではステントグラフトによる低侵襲手術症例が増加し、より精緻な手術のため、北大病院では2012年からハイブリッド手術室による手術が可能となりました。

【呼吸器外科グループ】
一方,呼吸器外科グループは加賀基知三診療准教授を中心に活動しています。早い時期から胸腔鏡手術に着手していて、わが国における低侵襲手術の先駆的な役割を果たしました。また,進行肺癌に対する拡大手術や集学的治療としての手術にも積極的に取り組み、「早い時期の肺癌には呼吸機能を温存した区域切除などの縮小手術および胸腔鏡を用いたより低侵襲な手術の追及」と「進行した肺癌には化学療法、放射線療法と組み合わせた外科切除の安全性の確保と治療成績の向上」を診療,研究の2本柱としています。

【循環器外科と呼吸器外科のコラボレーション】
今までは不可能であった局所進行肺癌に対して,人工心肺回路下に合併切除する,また最近では大動脈ステントを留置して大動脈壁を合併切除するなどの拡大手術可能となります。一方,循環器外科領域では胸腔鏡を用いた新しい低侵襲心臓血管手術が実現できます。前述したように北海道大学病院は心臓移植実施施設として認定され,シミュレーションや研修会を繰り返し,第1例目心臓移植実施まで秒読みの段階です。現在わが国における肺移植認定施設は8施設ですが,北海道で肺移植を実現しすべての臓器移植が道内で完結することが次のわれわれの責務と心得,次の世代に向けてすでに動き出しています。

【教室のモットー】
われわれ教室のモットーは、患者さまの視点で治療を行うこと、少なくとも最高のレベルの治療の知識を常に患者さまに提供し、可能な限りわれわれの技術もそのレベルまで上げることです。信頼していただける患者さまに対して、一社会人として、また医療者として、つきあわさせていただくという意識が大切と考えています。われわれは全能ではありませんが、全力をつくして命をお救いしたい気持ちだけは常に持ち続けています。病気に罹らないことが最も大切ですが、残念ながら外科治療が必要となった際は、もしわれわれがご協力できることがございましたらご連絡いただければ幸いです。

北海道大学大学院医学研究科 循環器・呼吸器外科学分野 教授 松居 喜郎

略歴

  • 1980年北海道大学医学部 卒業
    北海道大学医学部第二外科入局
  • 1985年10月~1986年10月
    Henri-Mondor Hospital(フランス)留学
  • 1987年11月
    北海道大学医学部附属病院第二外科 助手
  • 1992年6月~1993年3月
    Mayo Clinic(アメリカ) 留学(文部省在外研究員)
  • 1994年10月
    北海道大学医学部附属病院循環器外科 助教授
  • 2000年9月
    NTT東日本札幌病院心臓血管外科部長
  • 2004年4月
    池上総合病院ハートセンター長
  • 2006年4月
    北海道大学病院循環器外科 教授
  • 2011年7月
    北海道大学大学院医学研究科循環器・呼吸器外科学分野 教授

所属学会

  • 日本外科学会
  • 日本胸部外科学会
  • 日本心臓血管外科学会
  • 日本循環器学会
  • 日本血管外科学会
  • 日本冠動脈外科学会
  • 日本脈管学会
  • 日本移植学会
  • 日本人工臓器学会
  • 日本心臓移植研究会
  • 重症心不全外科研究会
  • 北海道移植医療推進協議会 等

北海道大学病院 循環器外科

循環器外科 循環器外科では心臓や血管の病気の患者さんを治療します。道内唯一の心臓移植認定施設および埋込型補助人工心臓実施施設として重症心不全の患者さんの治療を行う他、大動脈瘤に対するステントグラフト治療や新生児・乳児の心臓の治療等様々な患者さんのニーズに対して先進の治療を提供しています。

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北海道大学病院 呼吸器外科

呼吸器外科 対象となる疾患は、原発性肺がん、転移性肺腫瘍、肺良性腫瘍、縦隔腫瘍、胸膜腫瘍、胸壁腫瘍などの腫瘍性病変のほか、自然気胸、膿胸などの外科治療、外傷などです。手術方法は、胸腔鏡手術や肺区域切除などの低侵襲手術から、合併切除や気管支形成などの拡大切除まで幅広く対応しています。

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