ごあいさつ

北海道大学病院 乳腺外科(平成25年10月から乳腺・内分泌外科より名称変更)は、平成24年4月に新設されました。乳房の病気、特に「乳がん」を診療の中心としています。乳がんの診療においては、診断から治療まで一貫して行い、生活の質(QOL)と心のケアを第一に考慮した診療を心がけ、乳がん診療のガイドラインに沿った世界標準治療を実践しています。

日本では、乳がんは1990年代後半より日本人女性のがんの罹患率の第1位となり、増加の一途をたどっています。また、日本人女性の乳がんの罹患率は25歳以降のいずれの年齢においてもこの20年間で3倍に増加しています。罹患率の増加に伴い、乳がんに対する社会の認識も変わりつつあり、「5大がん」のひとつとして乳がんの医療に力が注がれるようになってきました。しかしながら、旧国公立大学では、乳腺外科が独立した講座、診療科を持つところは全国でもまだ数か所しか存在しません。北海道大学病院 乳腺外科は、乳腺外科の診療・教育・研究において重要な役割を期待されています。

乳がんの診療はこの30年間で大きく変わりました。以前は乳がんの治療といえば乳房を全摘する乳房切除術を行うことを意味していました。現在は、手術はどんどん縮小され、日本では乳房を温存する手術が6割以上を占めるようになっています。そして、がんの性質などに基づいた薬物療法(抗がん剤などによるくすりの治療)が治療の主体となっています。そのため、乳がんの診療においては、最適な治療法の選択を行うために、外科医として手術を行うだけではなく、腫瘍学に基づいた診療が求められます。

私たちは、乳がんの診療に携わるプロフェッショナルとして世界標準治療を実践しつつ、ひとりひとりの患者さんに最適な診療を提供するために、日々、研鑽を積んでいます。また、基礎から臨床にわたる最新の研究成果に耳を傾け、不幸にして乳がんに罹患した患者さんの完治を目指す方法を模索しています。基礎的な研究についての理解がなくては患者さんに最適な診療を提供することは難しく、基礎的研究に触れて疾患の本質を見極める目を養うことにより、より質の高い診療に繋がると考えています。

乳がんは現在、遠隔転移のない早期乳がんの場合、7割以上が完治します。しかしながら当然、治療は様々な意味で患者さんやご家族にとって非常に負担となります。私たちは予防、早期発見にも貢献したいと考え、研究を進めております。

さらに、乳房の「しこり」などの異常に気がついたすべての方が、すぐに相談したり、病院に受診できる環境が整えられるように支援していきたいと考えております。

北海道大学病院 乳腺外科
北海道大学大学院医学院医学専攻外科系 外科学講座 乳腺外科学教室

教授 山下 啓子 やました ひろこ

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