ISOの取り組み

審査受審

1 予備審査受審


不安の中、2004年11月30日予備審査当日となりました。JABより2名の審査員が来院し、約4時間かけて現場確認や用意した文書や記録の確認を実施しました。
その結果は、次のような思いもかけない結果でした。
  (1) 品質システム構築が不十分
  (2) 品質マニュアルがISO15189対応ではない
  (3) 内部品質監査が不十分
審査は受けたものの、審査員の質問の意図どころか言葉自体も理解できないなど、惨憺たる状態であったと言っても過言ではありませんでした。
審査員からは、本審査までに是正するよう勧告を受けることとなってしまいました。

2 活動の行き詰まり


活動は完全に行き詰まりの状態となりました。
本審査の日程は2005年3月9日から3日間と決まったため、3ヶ月で是正する必要がありましたが、何をどのようにすればよいかも分からない状態で認定取得プロジェクトによる話し合いが続きました。
12月に入った頃、検査室を訪問しているシスメックスの担当MRより、認定取得サポートの情報をもらい、早速、コンサルタントと面談をしてみると次の提案がありました。
  (1) 内部品質監査員養成のためのセミナーを実施
  (2) その際、「臨床検査室認定」とISO15189:2003についての説明を実施
  (3) 本審査受審後の是正処置対応
  (4) 有償での対応であること
しかし、独自認定取得へのこだわりとシスメックスのコンサルタントの力量が未知数であることから躊躇しているうちに年を越すこととなりました。

3 行き詰まりへの光明


ようやく検査部内で結論が出て、シスメックス社のスポットコンサルタントを受けることとなりました。
2005年2月19日から2日間で内部品質監査員セミナーを開催し、技師長、副技師長、プロジェクトメンバーの計12名が受講しました。
初日の要求事項説明は、要求事項の説明だけでなく、実際に検査室で対応しなければならいないことなど、具体的な説明を交えたものでした。 質問に対しても、一問一答で具体的な説明が加えられ、それまで我々が考え思い悩んだ事柄が氷解する思いでした。
二日目は、内部監査の心得やロールプレイングを用いた模擬監査を実施し、最後に筆記試験を受けました。
眼前に迫る本審査の威圧感か受講者全員が合格し、12名の内部監査員が誕生しました。

4 本審査への準備


内部監査セミナーの終了後、実際の現場を見てもらい、審査前の準備について検討を行いました。
そこでコンサルタントから提案された事項は、以下のとおりでした。
  (1) 本審査までの3週間、文書の見直しは混乱を招くためやめた方がよい
  (2) 代わりに、現場の5S(整理,整頓,清掃,清潔,躾)を徹底して行う
  (3) 感染対策の徹底を図ること(着衣や手袋着用の徹底など)
  (4) ものや部屋の識別を徹底しておこなうこと
コンサルタントからは、「かなりの不適合が予想されるが,現時点の悪さ加減を出し尽くすために全てを見てもらうようにして欲しい。」とのアドバイスを受けました。

5 不安の中の本審査受審


いよいよ、2005年3月9日の本審査当日を迎えました。
検査部長、副部長、技師長と私は、JABの審査員から矢継ぎ早に出される質問に悪戦苦闘し、それは審査というより尋問に近い光景でした。 おそらく審査員の方々もとんだ期待はずれと思ったことでしょう。
その結果、不適合事項30件、注記26件、計56件の指摘を受けました。これは恐らく今度2度と破られることのないワースト記録でしょう。
不適合の原因は、次のとおりでした。
  (1) 文書作成の段階で、規格の要求事項を充分に理解していなかった
  (2) 品質マニュアルをISO9001の攻略本を基に作成していたため、shall項目を満足出来ていなかった
  (3) 要求事項が文書化・実施されていなかったり、不十分であったり曖昧な記載で、実際には実施しているにもかかわらず、実施していると認められなかったりしたものがあった
本審査の結果は予想を大きく上回り、我々にショックを与えるものでした。
反面、「現場は良くできている。」との評価を受け、救われた気持ちにもなりました。

6 是正処置回答書との戦い その1


JABから3ヶ月の猶予を与えられ、是正処置がスタートしました。
まず品質システムの根幹となる品質マニュアルの作り直しから着手しました。 コンサルタントから作成方法を伝授され、品質管理責任者である副部長と技師長、私の3名で草案を練っていきました。
作成方法は簡単で、shall及びshould項目を実現させるために、誰が?何時?どこで?何を?どのように実施するか?(5W1H)だけを淡々とワンパターンな表現で記述していきました。 項番は、規格の要求事項と同じ番号を使い、審査員が混乱しないようにするよう心がけました。
品質マニュアルの作成が終了したら、それを基に、下位文書の整合性の確認を多くの部員で分担して実施し、実際の運用を開始しました。

7 是正処置回答書との戦い その2


是正処置回答書を作成するポイントは、如何に不適合の本質的な原因を見つけるかにあります。 是正処置回答書は、同一不適合で2回まで猶予があり、3回目の提出で改善されない場合は認定を取得出来ずに再審査となるため、 本審査終了後如何に早く是正を開始し、余裕を持って是正処置の効果の確認行うかがポイントです。
是正処置内容が確定したら、是正の効果を確認するために内部品質監査を実施し、その結果を受けてマネジメントレビューを実施しました。
それらの処置を是正処置回答書に記載し、5月下旬にJABに提出しました。

8 フォローアップ審査受審


是正処置回答書の評価を心待ちにしていたところ、1ヶ月ほど経って、フォローアップ審査実施の連絡が入りました。
フォローアップ審査は、8月19日、3名の審査員によって不適合事項と注記事項の全てに渡る確認が実施されました。
一番心配していた品質マニュアルは「良い出来映え」との評価を受け、ほっと一息をつきました。
特に大きな問題もなくフォローアップ審査を終えることができ、残すところは8月末の認定委員会の判断を待つのみとなりました。

9 認定決定の連絡を受けて
2005年8月31日に、担当された審査員から頂いた認定取得の一報は感激の一瞬であったことは言うまでもなく、 心待ちにしていた取得を、検査部全員で喜びを分かち合いました。