教育・研究活動

業績

一般社団法人日本臨床検査自動化学会
平成27年度優秀演題賞
ミコフェノール酸血中濃度測定における代謝産物が与える影響

中野恵一,山田武宏,安田慶子,山下直樹,澁谷斉,加畑馨,井関健,清水力
【背景】
ミコフェノール酸(MPA)血中濃度は、HPLC法を原理として測定されてきが、PETINA法が開発され、普及してきている。しかしPETINA法は、MPAの主要代謝産物であるグルクロン酸抱合体(MPAG)を測り込む問題がある。今回我々はMPAGを測定し、MPAGがPETINA法におけるMPA血中濃度測定に与える影響について検討した。

【対象】
当院を受診し、MMFを服用している20歳以上の腎移植16症例、肝移植28症例

【方法】
全44症例についてMMF内服前のMPA濃度をHPLC法及びPETINA法にて、MPAG濃度をHPLC法にて測定した。腎移植患者13症例については、4点採血でMPAのAUCを算出した。そして以下の点について検討した。
1)MPAGと腎機能との関係
2)MPAGと併用カルシニューリン阻害剤(CsA, TAC)との関係
3)腎機能と併用薬剤がPETINA/HPLC比に与える影響

【結果】
1)44症例におけるMPAG濃度はeGFRと負の相関(R=-0.49,P<0.001)を示した。
2)AUCを測定した腎移植13症例(CsA: n=6, TAC: n =7)における平均MPAG濃度について、CsA群はTAC群と比較して高値(P<0.05)であった。
3)AUC4点を含む全83点におけるPETINA/HPLC比は平均1.28であり、eGFRと負の相関(R=-0.25, P<0.05)を示した。またPETINA/HPLC比について、CsA群はTAC群と比較して高値(P<0.05)であった。

【考察】
腎機能低下に伴いMPAGは体内に蓄積することが示された。またCsA群はTAC群と比較し、MPAG濃度が高値となることが示された。これらの結果からMPAG濃度の影響が大きいPETINA法でMPA濃度をモニタリングする際は腎機能と併用薬剤による影響を考慮することが大切であると考えられた。
第95回北海道医学大会臨床検査医学分科会
・第49回日本臨床検査医学会北海道支部総会
若手優秀演題賞
発色合成基質法を用いた新規経口抗凝固薬edoxabanの血中濃度の測定

増田裕弥,松野一彦,宇佐美貴之,畑瀬正尚,山下亜妃子,澁谷斉,佐久間一郎,遠見真里,加畑馨,清水力
【目的】
近年、非弁膜症性心房細動患者(NVAF)における脳梗塞予防として新規経口抗凝固薬(NOAC)が登場してきている。edoxabanは、2014年9月にNVAF患者の全身性塞栓症予防へ適応が拡大した日本国産の新規経口Xa阻害薬である。 NOACではwarfarinのようなモニタリングは不要とされているが、出血性副作用の報告もみられ、何らかのモニタリング検査が求められている。 我々はこれまでに新規経口Xa阻害薬であるrivaroxabanとapixabanのモニタリングとして、発色合成基質を用いたXa阻害活性測定による血中薬剤濃度測定の有用性について報告してきた。 今回、新たに登場したedoxabanについて、発色合成基質法による薬剤濃度の測定を試みたので報告する。

【対象・方法】
edoxaban服用患者のクエン酸加血漿126検体を対象とした。発色合成基質法を用いたedoxaban濃度の測定は、発色合成基質S-2222と第一三共株式会社より提供を受けたedoxaban原末から作製したキャリブレータを用いて実施した。 また、同一検体においてトロンボレルSを用いてPTを、データファイAPTTを用いてAPTTを測定し、血中edoxaban濃度との比較を行った。

【結果】
edoxaban濃度測定において、同時再現性が低濃度域ではCV=1.47%、高濃度域ではCV=0.50%と良好であった。 また、2.6SD法により求めた最小検出感度は10ng/mL、希釈直線性の検討では600ng/mLまで良好な直線性が認められた。 edoxaban濃度のPTとの相関係数は0.7824と強い正の相関が認められたが、APTTとは0.2683と相関は弱かった。

【考察・結論】
腎機能低下に伴いMPAGは体内に蓄積することが示された。またCsA群はTAC群と比較し、MPAG濃度が高値となることが示された。 これらの結果からMPAG濃度の影響が大きいPETINA法でMPA濃度をモニタリングする際は腎機能と併用薬剤による影響を考慮することが大切であると考えられた。
第95回北海道医学大会臨床検査医学分科会
・第49回日本臨床検査医学会北海道支部総会
若手優秀演題賞
繊毛虫を介した大腸菌クオラムセンシング分子AI-2の誘導に関する研究

小栗聡,松尾淳司,秋沢宏次,澁谷斉,清水力,花輪智子,神谷茂,山口博之
【目的】
これ迄に繊毛虫と大腸菌の共培養系において、繊毛虫が形成する小胞内で大腸菌間の接合伝達が促進されることを報告した。 この結果は、小胞内で大腸菌が高密度に集積されることを示唆し、クオラムセンシングによって繊毛虫内外に存在する細菌の生存性や病原性に対しても影響を与える可能性がある。 そこで繊毛虫との共培養系における大腸菌のAI-2産生誘導について検討した。

【方法】
共培養:繊毛虫と大腸菌(CTXまたはCPFX耐性株)を用いた。また一部の実験ではluxS 変異株も用いた(以下に記述)。
luxS 変異株:作製したluxS 領域欠損フラグメントを導入したpYAKプラスミドにて大腸菌SM10λpir株を形質転換し、接合によって野生株に移行させた。
AI-2定量:AI-2依存的に蛍光発光量を変化させるVibrio harveyi BB170株の発光量を測定した。
リアルタイムRT-PCR:大腸菌のAI-2産生蛋白をコードするluxS 遺伝子とAI-2トランスポーターをコードするydgG遺伝子の発現変化を検討した。
大腸菌の可視化:PKH26にて生染色した大腸菌を共培養系に添加し、共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。

【結果・考察】
腎機能低下に伴いMPAGは体内に蓄積することが示された。またCsA群はTAC群と比較し、MPAG濃度が高値となることが示された。 これらの結果からMPAG濃度の影響が大きいPETINA法でMPA濃度をモニタリングする際は腎機能と併用薬剤による影響を考慮することが大切であると考えられた。