高度医療を支える感染管理


 近年、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やセラチア菌、結核菌などの院内感染が問題になっています。北大病院では以前から幾つかの委員会が院内感染防止に取り組んできましたが、平成13年3月に新たに感染管理室を設け、院内感染に関する問題を専門的に迅速に解決する体制を整えました。感染管理室スタッフ(医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士、事務職員)は,感染の危険が発生するとただちに現場へ赴いて防止策を指導します。また、感染管理室と同時に、各部署で感染対策を実行する総勢80名ほどの感染対策マネージャー組織が設けられました。感染管理室スタッフと感染対策マネージャーは頻繁に集まり、多剤耐性菌、結核、ウイルス、ダニ、食中毒、病院設備、生物テロなど様々な問題を協議し、対策を推進しています。病院が一丸となったこの感染管理組織は北大病院の大きな特色です。

 その成果の一つに、最新の情報に基づいて新たに作成された北大病院感染対策マニュアルがあります。この詳細なマニュアルを実践することで、北大病院は患者さんを院内感染から守っています。職員は院内のどこからでもネットワークを介してマニュアルを見ることができます。また、新聞、インターネット、研究会、製薬会社、国などから得られる最新の感染情報は、毎朝、感染管理室から感染対策マネージャーに電子メールで伝えられます。感染管理室は院内感染対策の講習会や講演会も実施しています。最近では内視鏡による感染を防止するための講習会が開かれました。

 患者さんに身近な活動としては清掃点検評価があります。院内を清潔にして快適で安全な療養生活を送っていただくため,北大病院では職員の他に清掃会社の責任者も交えて医療現場の清掃状態を点検評価しています。ある患者さんは、清掃点検する医師の姿に「北大では医者がこんなことをするの?」と驚きの声を上げられました。昨年度はすべての部署が年2回の点検評価を受け、殆どの部署の清掃状態が大幅に改善しました。この成果を学会で報告したところ、他大学から大きな反響が寄せられております。今年度からは清掃以外の感染対策も点検評価いたします。



清掃点検中のスタッフ

 感染管理は医療の基本ですが,高度医療には特にしっかりした感染管理が必要です。北大病院では、患者さまに安心して高度医療を受けて頂くように、今後も感染管理に真剣に取り組んでまいります。