北大病院に「治験ネットワーク」誕生


 この秋、北大病院を中心とした多くの札幌近郊の病院が参加して大規模な「治験ネットワーク」が誕生します。
 これにより患者さんには新たな治療を受ける機会が増えることが期待されています。

 「治験」とは、まだ発売が認可されていない新薬を患者さんにご使用いただき、その効果や副作用を確かめるシステムです。
 しかし患者さんには「どのような副作用があるかも知れず、とても不安」という思いがあるでしょう。
 しかし、ここで使用される薬は、これまでに何段階かのテストを繰り返して安全性が確認され、最終段階として患者さんにお試しいただくものです。
 もちろん、副作用が全くない、とは言えませんが、副作用の発生に十分備えた体制で治験は実施されます。
 一方、治験は患者さんにとっては新しい薬を使用する機会となります。
 例えば、糖尿病のコントロールが今の薬ではうまくいかない場合、新しい薬を使うことにより改善することが期待できます。
 必ず効く、とは言えませんが、これまでの薬にはない効果を発揮できるものが治験薬として採用されていますので、「今の治療ではなかなか良くならない」という患者さんには大いに期待していただけると思います。




 このような治験をこれまで北大病院では単独で行ってきました。
 しかし、治験は多くの患者さんに参加していただかなければ、薬の有効性がわかりません。
 ネットワークを作ることにより、多くの患者さんの参加が見込まれますので、治験の成果がはっきりと出ます。
 そのため、これまで北大病院で実施されなかったタイプの新薬の治験も行うことができます。
 つまり、新薬を利用することのできる病気の種類や患者さんの数も増えることになります。
 また、北大病院ではネットワークのスタートに合わせて院内の治験体制も充実させ、新たに「治験外来」を設置予定です。
 これにより治験をお受けになる患者さんは専用の外来で診察や説明を受けることができるようになり、外来予約も優先的にお取りいたします。



  「治験」とは何か難しい、あるいは不安なイメージがあるかも知れません。
 しかし、安全性につきましては、治験では最も注意がはらわれ、途中で何度も製薬会社の担当者が病院へ出向き、予定通りの診察や検査が行われているかを確認いたします。
 治験を開始前に、この治験の内容を審査した治験委員会も、1年に1回以上、治験が適切に行われているかどうかを審査します。
 治験は患者さん側のメリットも多くありますので、機会がありましたら是非、治験にご参加下さいますようお願い致します。