医学部附属病院と歯学部附属病院の統合について

北海道大学医学部附属病院長 杉原 平樹

 北海道大学では今年10月1日から、医学部附属病院と歯学部附属病院が改組・統合されます。

 全国42の国立大学に医学部附属病院があり、このうち11の大学には歯学部附属病院もありますが、9大学で医学部附属病院と歯学部附属病院が統合されます。
 統合される病院の正式名称は「北海道大学医学部・歯学部附属病院」ですが、長らく道民ならびに札幌市民の皆様に「北大病院」として親しまれてきたことから、「北海道大学病院」の名称で一つの病院として管理・運営されます。

 「北海道大学病院」が医療の実践をとおした教育・研究施設としての機能を担うことは従来どおりです。
 今まで、おのおの独立した医療施設で提供されてきた医科診療と歯科診療は、価値観の多様性、社会的ニーズならびに患者さんへのサービスの向上などの観点から、一つの大学病院の中で有機的に機能した医科・歯科診療として総合的に提供されることが求められています。

 今、大学病院は患者さん本意の医療を基本とした、質の高い安全な医療ならびに先端医療の提供を実践していますが、病院統合による医科・歯科診療の総合的診療は、患者さんの疾病の診断・治療のみならず、人生の質をも配慮した「全人的医療」を遂行するためにも理想的な医療環境であると考えます。

 病院統合による患者さんの利便性やアメニティの向上を含む良質な「全人的医療」の提供を具体的に稼働させるためには、現在の両病院の建物ののままでは不可能ですので、医学部附属病院外来棟に隣接した「医歯総合メディカルセンター」の新設を要求していましたが、今年度はこの要求が認められませんでした。

 大きな組織である2病院の組織統合自体は、病院の日常業務や患者さんにも一時的な混乱を生ずることとなり、大変ご迷惑をおかけすることになります。
 加えて、現状の建物のままでの組織統合では、物理的に有機的な病院機能の稼働はできませんので、患者さんの利便性やアメニティの向上にも支障をきたす可能性があります。
 病院としては、病院統合にともない患者さんにご迷惑の掛からぬよう最大限の整備をいたします。

 患者の皆様には、病院統合に関連してしばらくの間、ご不便をお掛けすることになりますが、なにとぞよろしくご理解とご協力をお願い申し上げます。