先端医療を支える輸血部のあらたな取り組み

輸 血 部


 先端医療の深さと広さに対応すべく、現在輸血部で力をいれて行っている4つの取り組みをご紹介いたします。
スタッフは常勤医師2名の他、輸血認定技師1名を含めた技師5名の計7名で取り組んでおります。

1)24時間体制による輸血オーダリングシステムの開始:平成13年10月より検査部の協力を得て開始し、1年が経過いたしました。
これに伴い、血液型検査は完全自動化を行っており、主に救急部や外科系の緊急検査依頼にご利用を頂いており、現在では月平均20件の夜間帯の依頼に対応しております。

2)輸血チェックカードの導入によるより安全な輸血実施の取り組み:より安全な輸血療法を行う工夫として、全国国立病院に先駆けて、平成14年11月より血液製剤の出庫の際に「輸血チェックカード」を同時に添付し、利用してもらうことにいたしました。
現場での輸血前後の事故防止に役立つことを目的にしておりますが、これはリスク面からも非常に意義深い取 り組みだと考えており、リスクマネージメントと合わせて有用なものになるように更なる検討を加えたいと考えております。

3)自己血貯血の充実:平成9年より開始し、6年目になろうとしておりますが、現在のところ年平均670件の依頼を受けて実施しております。多くの患者さんが自己血を望むことが多いために、非常に喜ばれているという自負があります。
より安全な輸血のイメージが強い自己血貯血が定着した感がありますが、学会や各種研究会において全国有数の症例数を経験している私達の取り組みが評価され、他施設からの業務相談を受けているところです。


自己血貯血の様子

4)血液製剤の効率的な使用に向けての院内業務の取り組み:輸血などが何時でもできるように、当院では輸血オーダー業務24時間体制をとっていますが、血液製剤の有効な利用を図るためにコンピューターシステムによる血液製剤の管理を行っています。
これにより、保存している血液製剤を効率的に配付することが可能になり、期限切れなどによる廃棄が減少する効果を得ています。
また、手術で使用されなかった血液製剤も、手術部に設置した血液製剤専用保冷庫にすぐ保管し、その管理な らびに利用も輸血部のコンピューターシステムで行うことで、さらに廃棄率の減少が得られています。
先端医療に携わる大学病院としては、時には大量の血液製剤が必要となります。この貴重な血液製剤を出来うる限り有効に利用することは、供血された方々の善意を無にしないと言う意味でも大変重要なことと思います。

 これまで輸血部は、どちらかというとサービス部門の位置付けのイメージが強かったのですが、病院の中央部門の一つとしてより存在感のある業務を盛り込み、さらに、この11月に着任された佐藤典宏副部長の細胞療法の経験を生かして先端医療の一翼を担う部門への発展を目標として日々活動しているところです。