TV室での検査
検査の流れ
TV室で行う検査の種類は多くあります。大きく分けて体に針を刺さない(穿刺なし)検査・処置と、体に針を刺す(穿刺あり)検査・処置があります。
穿刺を行わない検査では、造影剤を飲んだり、チューブから造影剤を注入して食道や胃、大腸の観察をします。また、X線透視下で下肢や上肢の関節に負荷(ストレス)をかけて機能を見る検査などもあります。
・外来患者さんは、1階のX線受付でIDカードを提出し受付を行ってください。 ・入院患者さんは、TV室から連絡いたします。医師・看護師の指示に従いIDカード、造影剤カードを 持参して検査室に降りて来てください | ||||||
造影剤など検査に必要な薬剤を使用する場合は問診票がありますので、記入してください。詳しくは、看護師より説明があります。 | ||||||
洋服が汚れないように、検査に応じた検査衣に着替えていただきます。 ※問診表記入と着替えの順序が入れ替わる場合もあります。 | ||||||
・心電図モニタや血圧計などを測るのに必要な準備をしていきます。 ・検査の流れは「穿刺あり」と「穿刺なし」に分けて流れを説明します。 | ||||||
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TV室では色々な診療科が様々な検査を行なっています。検査の内容によっては上記と異なるところもありますが、必ず順をおって説明しながら検査を進めて行きますのでご安心ください。
検査の種類
IVH (Intravenous Hyperalimentation) 挿入は、口から栄養が摂取出来ない患者さんに対して、栄養を補給するため高カロリーの輸液を流すための管(カテーテル)を静脈内に入れる事を言います。カテーテルを入れる場所は、患者さんの状態に合わせて首や鎖骨下、大腿または肘から選んで挿入します。IVHカテーテルは一時的なものであり、ずっと体内にあるものではありません。しっかり口から栄養が摂れる様になれば入れたカテーテルは抜いてしまいます。 | IVH挿入:右鎖骨下 |
体内に溜まった血液・膿等の貯留液を体の外に出すための管を留置したり、臓器の間に生じる管状の欠損部(瘻孔)に対して管を置いて炎症や感染症を予防するために行う造影検査と処置の総称です。目的や処置する部位によりチーブの種類や検査方法が異なります。例えば、胆管が何らかの理由により狭窄または閉塞して黄疸が出た患者さんに対し、皮膚から直接胆管に管を刺し、溜まった胆汁を体の外に出すPTCDという処置がその一つです。 | 胆管造影 |
診療科によって造影の目的は変わってきますが、消化器系の領域では食道・胃造影検査では造影剤を飲む事で、食道や胃の壁の状態(病変)や機能を観察したり、術後経過として食道から胃・十二指腸までの造影剤の流れを確認するために行います。 また、リハビリ目的として安全に食べ物が飲み込めるかどうか、気管に入って行かないかどうかの評価目的として食べ物に造影剤を混ぜて飲み込む嚥下造影検査も行っています。 |
胃造影 |
食道造影 |
大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病など大腸の疾患に対して、病変部の形態や範囲を把握するために行います。 検査は、造影剤を入れるためのチューブを肛門に挿入し、造影剤や空気を流して行きます。造影剤注入後、ころころと体勢を変えることで腸の内壁に造影剤が付着し、その造影剤により内壁の形状を観察します。 また、大腸の全体像を把握でき、大腸の外にある腫瘤なども把握する事ができます。ただし、この検査だけでは確定診断までには至りません。 |
注腸造影 |
当院での泌尿器科では腎臓や尿管、尿道、膀胱などの造影検査や尿管ステント留置術、腎瘻造設術など様々な処置を透視室で行っています。右の写真は尿管ステンと留置術後の画像です。尿管が手術や腫瘍など何らかの原因で細くなり腎盂に尿が溜まってしまう状態(水腎症)の患者さんに対して行われる処置で、尿の出口から細い管(カテーテル)を挿入し腎臓から膀胱までの尿管に留置します。この処置によって、尿の通り道が確保されます。 | 尿管ステント留置 |
HSG (Hystero salpingo graphy) は、不妊の診断や治療における重要な検査になります。子宮腔に造影剤を注入し、子宮疾患の診断や、卵管の通過障害の有無を観察します。 膣鏡を使用した時や、造影剤を子宮卵管内に注入する際に多少痛みが出る患者さんもいます。 また、造影剤を子宮内に入れるので検査後は下着が汚れる可能性があります。 下着が汚れない様な用意をお願いします。 |
子宮卵管造影 |
TBLB (Transbronchial lung biopsy)とは、びまん性肺疾患や、サルコイドーシス、肺がん、肺炎の形態を示す何らかの肺病変に対し、気管支鏡とX線透視を用いて肺の組織の一部を採取してくる検査です。また、肺の放射線治療に必要な金球(Φ2mm)を検査中に埋込むこともあります。(写真参照:丸の中の白い粒) 合併症として肺を損傷し気胸が考えられますが、それを防ぐため、X線透視をして生検を行っています。 |
金球埋込 |
整形外科領域で、損傷した関節(軟部組織)の機能や状態を把握するためにX線透視下で関節に負荷をかけて撮影を行います。手術の前に行う場合が多く、負荷は整形外科の医師が行います。
また、損傷状態を見るために関節を動かすので痛みが伴う場合もあります。
他に、関節損傷の程度を見るのに関節腔に針を刺し造影検査を注入し撮影を行う検査(アルトログラフィ)を行なう場合もあります。
また、肩関節や股関節の脱臼をしてしまった患者さんに対し透視下で整復する場合もあります。
整復時は強い痛みが伴うため、薬剤を使って眠らせて処置を行います。
人工関節脱臼の整復 |
小児の尺側母指IP尺屈 |
造影剤について
検査の内容によって造影剤を使用する場合があります。
造影剤を使用する場合は、必ず検査の前に問診票の記入をお願いしています。
造影剤の種類
①血管(静脈)に造影剤を入れる検査場合 | : | 非イオン性・水溶性のヨード造影剤 |
②検査する臓器に注入する場合 | : | イオン性・水溶性のヨード造影剤 |
③口から造影剤を飲む場合 | : | イオン性・水溶性のヨード造影剤 |
④子宮卵管造影の場合 | : | イオン性・油性のヨード造影剤 |
副作用について
稀に、造影剤で副作用を生じる場合があります。気分が悪くなった時にはすぐに声をかけてください。重篤なアレルギー反応が出た場合にはすぐに適切に処置できるような体制をとっています。また、時間が経ってから症状が出る場合もあります。何かありましたらすぐに周りのスタッフにお声をかけて下さい。
※胃や腸の検査で造影剤を使用した場合は、検査後に便が緩くなる場合があります。
【副作用の種類】
・嘔気、嘔吐
・かゆみ、くしゃみ、蕁麻疹(膨隆疹)
・冷や汗、血圧低下、ショック
・呼吸困難(咽頭浮腫)、心停止
お願い・注意事項
- 糖尿病の患者さんで「ビグアナイド系経口血糖降下剤」のお薬を服用している方は48時間の服用中止をお願いします。
- 甲状腺機能亢進症の診断を受けている方、ヨード製剤(海藻類、イソジン)にアレルギーを持っている方は必ず申し出てください。
- 検査中に何かあれば遠慮なさらずに医師や看護師にお超えかけください。
- 清潔野が必要となる検査では綺麗な布が体にかかっているので、手足を自由に動かせません。
- 検査の内容、検査する部位によっては多少辛い体勢になる可能性があります。なるべく、辛くならないよう対処しますが、ご了承ください。
- 検査の内容によっては前日から絶食や、下剤の服用をお願いする場合があります。担当医の指示に従い検査を受けるようお願いいたします。
- 検査の待ち時間ですが、前の検査が長引いてしまう場合があります。予約時間通り進められるよう努めますが、検査時間に始められない場合はご理解のほどよろしくお願いいたします。
- 造影剤を使用した検査では、検査後に積極的に水分を摂る様にしてください。