関連病院報告

北海道道内に18施設の関連病院

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 現在呼吸器外科関連病院は18施設あり、北海道のすべての三次医療圏を網羅しています。17施設が呼吸器外科専門医認定修練施設であり、残る1施設は認定されるべく症例集積中です。2014年から関連病院における『北海道呼吸器外科データベースHTSD』構築を始めました。最初の年に過去2年間分を集積したので2013年からの症例数の推移を紹介します。

関連病院報告2016年

手術症例数ならびに肺癌手術症例数

クリックすると拡大します。各施設における症例数はまちまちであるが、最も多いのは手術総件数377例の札幌南三条病院で不動の位置を占めている。前年比10%ほど減少しているが、それでも二位以下を大きく離している。二位は、手稲渓仁会病院、市立釧路総合病院、帯広厚生病院、恵佑会札幌病院が年によって入れ替わる。前年比が大きく伸ばしているのは、2015年市立釧路総合病院(179%)、2016年NTT東日本札幌病院(165%)であるが、多くの施設で前年比100%越えしている。

年間手術数の推移

クリックすると拡大します。 全体的には呼吸器外科手術症例数の増加は年々著しく、肺癌手術件数の増加がそのまま手術総数の増加を導いている。2015年以降、手術症例総数は2,000例、肺癌手術数は1,000例を越えた。(図3)高齢化に伴う全国的な傾向と考えられるが、全国ワースト1の喫煙率である北海道では当分の間、この傾向は止まらないのではないか。

疾患分布 

クリックすると拡大します。 全手術症例数における肺癌手術の占める割合は肺癌が最も多く62%を占める。転移性肺腫瘍を含むと78%が肺悪性腫瘍に対する手術である。気胸は18%、縦隔腫瘍、胸膜悪性腫瘍は大学に集まる傾向にあり、全体ではそれぞれ7%、1%に過ぎない。(図4)その中で、北海道医療センターは重症筋無力症に対する拡大胸腺摘除術が集中していて特徴的である。大きな比率を占める肺悪性腫瘍の増減が全体に与える影響は大きい。

年齢分布にみる高齢化

クリックすると拡大します。 肺癌症例の高齢化が予想されるところであるが、2016年の集計を見ると肺癌手術症例の50%が70歳以上で、80歳以上も11%を占める。90歳以上の1例に手術されていることに驚いた。(図5)高齢者手術の増加は併存症や合併症のリスクを高めるので、今後はがんセンターなどの単科病院よりも総合病院が有利と考える。関連病院全体の手術死亡率は0.5~1.2%で、ほぼ全国平均同等である。死因は、呼吸不全、間質性肺炎、循環器疾患などである。

おわりに 

北海道は全国一の喫煙天国。社会の高齢化にもともないさらに肺癌症例数の増加が見込まれる。われわれが取り組んでいる低侵襲手術はまさに需要に適していて、当分の間の活躍の場は続くだろう。


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