北海道大学病院呼吸器外科の手術に関するデータ

 総手術件数は年々増加していて、2017年はさらに飛躍的に伸びました。その傾向は肺癌手術件数の増加に伴うものです。高齢者人口の増加に加えて、都道府県別喫煙率ワースト1である北海道では今後もこの傾向は続くことが予想されます。北海道大学病院では1996年から肺悪性腫瘍に対する胸腔鏡手術を開始して20年以上が経過しました。最近ではその90%以上が胸腔鏡でなされています。肺癌手術について最近5年間の推移をみますと、組織型は腺癌が約70%、扁平上皮癌が約20%で目立った増減はありません。喫煙に起因するといわれる扁平上皮癌が増加しているとことはないようです。術式については、標準術式である肺葉切除に対して、縮小手術である部分切除の比率が増加する傾向にあります。早期である臨床病期ⅠA期の比率が明らかに増加していますので、それに対して縮小手術を施行していることが大きな要因と考えられます。高齢者に対して縮小手術をおこなっている可能性も考えられますが、手術の対象が高齢化している傾向はみられません。むしろ高齢者に対しても、胸腔鏡による低侵襲手術によって標準治療が行われていると考えます。男女比率は60:40で増減はありません。全国でもダントツの女性喫煙率の北海道において、女性の肺癌が増加しているということはないようです。

手術総件数と肺悪性腫瘍手術

悪性腫瘍手術に対する術式

肺癌の組織型

肺癌に対する術式

肺癌手術症例の病期

肺癌手術症例の年齢と性別

ページの先頭へ